不動産業界では事業者も消費者も不動産比較サイトをよく活用するようになっています。不動産売却の際に消費者が自分で情報を探して不動産業者を選ぶ時代になり、不動産業者としてはいかにして消費者に自社にたどり着いてもらうかが大きな課題となっています。
不動産比較サイトは消費者が不動産売却を検討している物件の情報を基にして、多数の不動産業者を比較できるのが特徴のサイトです。消費者としては無数の不動産業者の中から魅力的な候補を絞り込むのに有用なサイトとなっています。
ただ、不動産業者としてはBtoBビジネスとして提供されている不動産比較サイトを利用するかどうかを迷っているケースが多々あります。
その事情を踏まえてどのような不動産比較サイト開発をすれば利用が促進されるかを考えてみましょう。この記事では不動産比較サイトの現状の問題点を考察した上で、サイト開発の合理的な戦略を紹介します。
- 現状の不動産比較サイトの問題点とは
- 今後の不動産サイト開発の戦略
- まとめ：現状の問題点を解決する不動産比較サイトを開発しよう
・多数のサイトがあって特色が不明瞭
・個人情報の取り扱いなどのサイトの信用性が不安
・登録済み他社の信頼性が不明確
・他サイトと比較して強みを明確にする
・プライバシーマーク認定を取る
・登録時に審査を実施する
現状の不動産比較サイトの問題点とは
不動産比較サイトは不動産業者にとって有用なマーケティング方法の一つです。
それにもかかわらず利用があまり進まないのは以下のような問題点があるからです。
多数のサイトがあって特色が不明瞭
現状として無数の不動産比較サイトが運営されていますが、ほとんどのサイトについて特色が不明瞭なのが問題点です。どのような消費者がターゲットになっているサイトなのか、不動産業者には何を期待しているのかが明確に示されていないのです。
多数のサイトがあるので不動産業者としてはどこに登録したら良いかを判断するのが困難です。
登録するなら自社の利益を最大化できるサイトを選びたいのが当然です。そのための比較検討に苦労してしまい、登録を断念するケースがよくあります。
個人情報の取り扱いなどのサイトの信用性が不安
不動産業者としては不動産比較サイトを利用することで多くの消費者から連絡を受けられることを期待しています。そのため、不動産比較サイトの信用性が高くて消費者が喜んで利用するところを選んで登録することが重要です。
現状の問題点として消費者が一括査定サイトを使用するのに不安を抱いていることが多いことが挙げられます。既存のサイトでは個人情報の取り扱いが不安だったり、利用後の営業や勧誘がうるさくなるのではないかと心配したりしているケースがよくあります。
本当に信用できる不動産比較サイトかを不動産業者としても見分けるのが難しく、登録すべきかどうかを悩みがちです。
登録済み他社の信頼性が不明確
消費者が不動産比較サイトを利用するときにはどの不動産業者が候補になるのかが気になります。登録されている不動産業者が明確に示されていれば安心感がありますが、登録業者の情報があまり充実していない不動産比較サイトも多いのが現状です。
不動産業者としては消費者の利用が増えないのではないかという心配があるだけでなく、登録済み他社の信頼性も不明確なのが不安になります。
もしその不動産比較サイトを使った消費者から悪徳な行為を受けたという口コミが生まれると、自社も風評被害を受けるリスクがあるからです。登録したことで自社の信頼性が低下するリスクがあるなら避けたいと考えるのももっともなことでしょう。
今後の不動産サイト開発の戦略
このような現状の不動産比較サイトの問題点を踏まえると、どのような戦略を立ててサイト開発をするのがBtoBビジネスとして合理的なのでしょうか。
今後、多くの不動産業者による登録を受けられるサイト構築をするためには以下のような方策が有効と考えられます。
他サイトと比較して強みを明確にする
不動産比較サイトを開発する段階で明確なコンセプトを打ち出し、他サイトと比較して明らかな強みを示すのが重要な戦略です。どの不動産でも取り扱い、どの地域でも対応し、不動産業者の網羅性も高いというのでは独自性に見えないでしょう。
不動産業者の登録数が多いのは消費者にとって選択肢が広がる点で魅力があります。
しかし、消費者の視点で見るとアパートを買いたい人には一戸建ての不動産に興味があるわけではありません。東京で不動産を探している人には北海道の不動産を紹介できる業者には興味がないでしょう。
そのため、例えば世田谷区、目黒区、大田区、渋谷区、品川区、港区に限定した地域特化型の不動産比較サイトを構築するといった方法で特色を作るのが合理的です。不動産売却の一括査定サイトにする場合にも、一戸建てに限定する、投資用不動産のみを取り扱うといった形で物件の種類や用途で特化型のサイトに仕上げる方法もあります。
このような戦略を取ることでターゲットが明確になります。不動産業者が不動産比較サイトを通してアプローチしたいと考えている消費者層にマッチすれば登録を前向きに検討してくれるでしょう。
プライバシーマーク認定を取る
消費者からの信用性が高いサイトとして打ち出すためにはプライバシーマーク認定を取得するのが効果的です。
いかに高いセキュリティを構築し、個人情報保護方針を明示したとしても消費者は不安を持つ可能性があります。第三者機関からの認定を得ているとわかるだけで大きな安心感が生まれるので、代表例としてプライバシーマークの取得を目指しましょう。
プライバシーマーク認知を得る取り組みは消費者視点でのサイト構築をしていることを示す根拠にもなります。全体としてサイト経営が信用できると考えてもらうために有効な取り組みです。
サイト上にもよくわかるように明示して、消費者と不動産業者の両方から信用を得られるようにするのが重要です。
登録時に審査を実施する
不動産業者の品質管理を徹底するのは不動産比較サイトの運営を開始する際には重要な観点です。登録をする段階で審査を実施するシステムを取り入れるのが合理的な対策でしょう。
登録時に審査をしているという事実が明確にサイト上で示されているだけでも消費者の安心感が高まります。悪徳業者の登録がないなら、一括査定の結果として出ていたどの業者に依頼しても大丈夫だろうと考えられるからです。
不動産業者としても登録済み他社の信頼性が高いことがわかり、安心して登録を申請できます。与信調査などの基本的な審査を実施するのはサイトの健全性を保つ上でも重要なので、審査制を導入して運営をしていきましょう。
まとめ：現状の問題点を解決する不動産比較サイトを開発しよう
不動産比較サイトを運営する際には多数の不動産業者からの登録を受けて、消費者が幅広い選択肢の中から選べるという印象を持ってもらうことが重要です。消費者からの利用が増えれば優良な不動産比較サイトとして話題になり、不動産業者の登録もさらに加速すると期待されます。
その入り口として重要なのが現状の問題点を解決する不動産比較サイトを開発することです。実績のない状態から不動産業者の登録を促すには、既存の不動産比較サイトでは登録するのが不安だった業者にとって魅力的なサービスを提供することが必要です。
ここで紹介した不動産比較サイト開発の戦略は不動産業者の悩みを解決する方策の代表例です。これらを参考にして独自性のある不動産比較サイトを構築すればきっと不動産業者の利用を促進できます。
